桜吹雪が舞う夜に
それでも、冬の寒さもあってなのか、気づけば求められる頻度が増えていた。
下手をすれば、彼の家に行くたびに――というほどに。
今まで彼がセーブしてくれていただけだったのか、それとも別の理由があるのかは分からない。
そもそも、仕事で心底疲れているはずなのに、どうしてそんな余力があるのだろう。
むしろ、疲れているほどに求めてくるようにも思えた。
理由は分からない。
けれど、不思議と嫌だとは思わなかった。
決して自分本位の行為ではなく、その奥に確かな愛情を感じ取れたからだ。
――その夜も、彼は私を抱きしめながら低く呟いた。
「桜。……可愛すぎる。
……絶対に手放したくない。
将来でも、君が別の男に抱かれるなんて……耐えられない」
胸の奥に甘い熱が広がる。
こんなにも強く必要とされている。
こんなにも真っ直ぐに愛されている。
その独占欲さえ、私には嬉しくてたまらなかった。
私は彼の胸に顔をうずめながら、ただ小さく頷いた。
「……大丈夫です。ずっと、日向さんだけですから」