本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 嫌な予感が胸をかすめる。


 「例の物件がどうしても欲しいと、べつの会社から強く申し出がありましてね」


 莉乃は息を飲んだ。

 (あの場所をほかの企業が? だけど、うちはすでに契約書を取り交わす段階まで進んでいるのに)

 膝の上で握りしめた拳が震える。
 山城は盃を持ち上げ、ゆっくりと揺らしながら言葉を続ける。


 「さて、どうするか……。あなたのご意見を聞かせていただけますかな?」
 「ですが、お話は弊社が先に進めていたはずです」


 莉乃は落ち着いた口調を保とうとしながら、視線を山城に向ける。


 「それに、契約書を取り交わす段階ですし、今さらべつの会社との交渉があるというのは……どういうことでしょうか?」


 膝の上の手をゆっくりと開く。焦りを悟られるわけにはいかない。
 山城はその反応を楽しむかのように、微笑を浮かべながら答える。
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