本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 山城の言葉に小さな波紋が広がっていく。逃げるのが得意という言葉には、過去のやり取りをほのめかすような含みがあり、警戒心をさらに掻き立てられる。


 「婚活アプリと言ったらわかりますか?」


 父との約束を果たすために婚活アプリに登録していた時期があるため、その存在なら知っている。しかしだからなんだというのか。


 「それが今、なんの関係があるんですか?」
 「私とのマッチングをスルーしたうえ、即刻退会しましたよね」


 過去の記憶が蘇る。マーケティングの専門家である青葉との会合の約束を取りつけ、航希を伴って会社を出たときのことだ。

 たしかにあのときマッチングの通知がきたが、さんざんな出会いが続いていたためその場で退会していた。あの通知の相手が、山城だったというのか。

 動揺を隠すためにゆっくりと息を吐き、視線を山城に固定した。


 「通知の扱いは個人的な判断です。それを今、ビジネスの場で蒸し返すのは筋違いではありませんか?」
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