本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 短く返す。細かいことは気にしないという安心感を与えるものだった。


 「いいの、大丈夫だから。ほんとにありがとう、航希」


 青葉の隣に立つ莉乃も続けた。


 「じゃ、俺はそろそろ失礼するよ」


 航希は立ち上がり、軽く手を振ってマンションをあとにした。
 航希が去り、リビングが急に静かになる。青葉への恋心を自覚したせいか、ふたりきりが妙に気まずい。


 「お風呂の準備をしてくるわね」


 莉乃はソファの上の風船を軽く手で押さえながら、足元に散らばるクレヨンを避けてバスルームに向かった。
 ソファの上の風船を押さえたとき、ふと青葉の視線を意識している自分がいた。いつもどおりの優しい声、揺るぎない態度。それなのに、心の奥がざわめく。

 (こんなの、どうすればいいの……)
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