本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 望のやわらかい髪をそっと撫でながら、青葉に視線を向ける。

 青葉はソファに腰を下ろし、コーヒーカップをテーブルに置いた。少し疲れたような、それでいて穏やかな表情で答える。


 「正直、里美さんたちの気持ちはわかるよ。望は彼らにとって娘さんの忘れ形見だし、大切な存在だ。でも……」


 彼は一瞬言葉を切り、望を見下ろした。


 「望が今ここで安心して過ごしてるのは、俺たちにとっても大事なことだよな」


 莉乃は小さく頷き、望の小さな手を握った。


 「そうね。望くんが朝、里美さんたちを見て固まってたの、気になったの。まだ小さいのに、急に知らない場所に行くのは怖いと思う」


 望はふたりの会話を聞いているのかいないのか、絵本のページをゆっくりめくりながら、時折「うさぎさん」と小さく呟く。莉乃はその声に微笑みつつ、胸の内でざわめく気持ちを抑えた。

 青葉と望と暮らしはじめた日から、莉乃は望の笑顔を守ることを心に決めていた。だが里美と仁志の切実な願いも、莉乃の心を揺さぶっている。
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