本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
その週の日曜日、青葉の運転する車は望の祖父母である仁志と里美の家に向かっていた。後部座席のチャイルドシートでは、望がおにぎりセイバーのぬいぐるみをぎゅっと抱き、「おにばー、ねんね」と舌足らずな口調で話しながら窓の外を見つめている。
今日これから望は、初めて祖父母と三人だけで過ごす。
一カ月前、仁志と里美がマンションを訪れ、『望を引き取りたい』と告げたときの衝撃は、今も莉乃の胸に残っている。彼らの切実な願い――亡き娘の忘れ形見との時間を求める気持ちは理解できる。
(でも望くんを手放すなんて……)
一カ月経った今も莉乃には考えられない。青葉もそうだろう。
そもそも望は、青葉を父親と認識しているのだ。引き離されるなんて夢にも思わないだろう。
とはいえ実の祖父母である彼らに会わせないのは酷であるため、青葉とふたりで話し合い、祖父母との交流を少しずつ増やすことにした。
この一カ月、望を連れて彼らの自宅を訪れ、里美と仁志に慣れさせてきた。望はまだ祖父母に少しぎこちなく、〝じいじ〟〝ばあば〟と呼ぶ声も恥ずかしそうだが、最近は里美が焼いたクッキーを見ると目を輝かせるようになった。
そうして望と一日過ごしたいという彼らの強い願いに、青葉と莉乃は心の準備が整わないまま今日という日を迎えた。