凪がくれた勇気
清凪(せな)くんからのお誘いに
嬉しさと恐怖感が押し寄せてきた。

歩侑(ふう)
(初めてのスポーツ観戦、人がたくさんいる場所。)
(筆談しかできない私が行って迷惑じゃないかな…?)

余計な心配ごとばかりが頭に浮かんできた。

けど、ここで二の足を踏んだら
今までの私と同じだ。

私は人見知りを克服したい。
せめて自分の口で会話できるようになりたい。



清凪(せな)くんはデフリンピックメンバー入りを賭けて
全力でぶつかっている。

私も、清凪(せな)くんの1000分1でいいから
自分の人生に全力でぶつかってみたい。
私自身が変わるために!

サラ、サラ、

歩侑(ふう)
(お誘いありがとう!応援に行きます!)

清凪(せな)くんは私の返事を見ると、
少しひきつっていた顔がほころんだ。

清凪(せな)
(ありがとう!)

歩侑(ふう)
(それでね、手話で応援してみたいの。)
(簡単な手話を教えてくれるかな?)

清凪(せな)
(もちろん!まず”ありがとう”は両手を握ってから…。)

清凪(せな)くんは、私にもできそうな
簡単な手話をいくつか教えてくれた。
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