凪がくれた勇気
清凪(せな)くんが私を心配する素振りを見せた。

出逢った日から感じていたが、
彼は人の気持ちを読み取るのが本当に上手い。

音という情報が入ってこないから、
それ以外の感覚をフル稼働させているんだろう。

歩侑(ふう)
(ごめんね…私の自爆に巻き込んで…。)
(ううん、清凪(せな)くんは何も悪くないよ。)

彼は勝手に落ち込んだ私を
元気づけようとしてくれたのか、
何かを決意したように拳を握った。

そしてスマホ筆談を始め、

ピ、ピ、ピ、

清凪(せな)
(さっき話した大学生との試合の件。)
(来週、市立体育館で。よかったら応援に来てください。)

内容は、清凪(せな)くんが挑む強化試合への招待だった。

清凪(せな)
(相手は聴こえる選手のチームだけど勝算はある。)
(必ず活躍して本大会メンバーに残ってみせます!)
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