本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
圭人がぴたりと足を止める。


茉琴は立ち止まらず、圭人を追い越し振り返って続けた。

「私が本気ならいいよって言ってくれた。
ドキドキはしたけど、その気がないのに言われてもって感じだね。言われる立場になってわかったよ。
悪い気はしないんだけど」

松岡さんはいい人だけど、結婚を前提に考えるならもっと堅実そうな人がいいのかな。
そんなことを考えている茉琴の表情をどう読んだのか、

「水野のペースでいけばいい」
と圭人はつぶやき、茉琴と並んで歩き出す。

茉琴はバーの代金を圭人に渡そうとするが、結局駅に着いても受け取ってくれなかった。

圭人は
「代わりに明後日の日曜空けておいてくれ」
と茉琴の予定も聞かずに告げると、茉琴の乗る電車のドアが閉まるのを見送った。
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