本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
「これまで水野のことは、誰よりも近くで見てきた。
俺の勘違いじゃないなら、キャンセルは受け付けない。
大体三人紹介するとは一度も言ってない。」
笑顔でぴしゃりと言葉をふさぐ。
聞き及んだ圭人の非情さはどこにも見当たらない。
「私の意思は?」
「俺の勘違いじゃないだろ?」
圭人は優しく笑う。
「賭けだったんだ。
水野が誰か紹介してほしいって言いだしたとき。
俺が名乗り出ても、水野は絶対信じないだろ?
これまで意識して仕事以外の話題は避けてきたから、
思い切って仕事以外から距離縮めるための三回。
最初から俺以外とのチャンスを作る気なんかなかったよ。
一輝さんにはずいぶん振り回されたけどね」
「神谷…」
圭人は茉琴の手をまだ離さない。
一度深く息をつくと、また真剣な表情で茉琴を見つめた。
「とはいえ、この一週間、目も合わせないから実は正直焦ったよ。
水野、俺と付き合ってくれるか?」
圭人の右手にぐっと力がこもる、
茉琴は照れながらその手をキュッと握り返した。
「この店で、とか。私たちらしくて笑えるよ」
茉琴は圭人の目を見て大きくうなずいた。
