本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
茉琴が圭人の手を振り払おうと顔を上げると、圭人と目が合った。
圭人の右手はしっかりと真琴の左手を包み込んでいて払うことができない。
キュッとその手に力が入ると、圭人はまっすぐに茉琴を見つめた。
「美咲は俺の姉。
親が離婚してそれぞれ別性を名乗ってるんだ。
仕事絡みもいろいろ面倒だから、ほとんど伝えてない」
「きょうだい…」
茉琴は驚いて目を見開く。
別れたのかと茉琴に聞いてくるくらいだから、中田も知らないはずだ。
すると圭人は今までに見たことのない優しい顔で茉琴に微笑みかけた。
茉琴は自分の顔がさらに熱くなっていくのを感じる。
「俺はここで水野に三回チャンスをやるって言っただろ?」
圭人は包み込んだ茉琴の左手の指先に軽く口づける。
「神谷!」