野いちご源氏物語 三七 鈴虫(すずむし)
昨夜はお(しの)びで上皇(じょうこう)様のお住まいへお行きになったけれど、今朝六条(ろくじょう)(いん)にお帰りになるときは盛大なお行列になった。
上皇様の方にいた貴族たちもお(とも)に加わって、源氏(げんじ)(きみ)はご出発なさる。

源氏の君のお子は、明石(あかし)女御(にょうご)様と大将(たいしょう)様、それからこれは絶対に秘密だけれど上皇様。
女御様と大将様は立派にご成長なさって安心しておられる。
上皇様のことは、ご自分のお子だと誰にも言えないから、よけいに(いと)しくてご心配もなさっている。
上皇様も源氏の君を本当の父君(ちちぎみ)とご存じだけれど、公表できることではない。
(みかど)(くらい)()りて気楽な立場になれば、しばしばお会いできるだろう>
とご期待なさったことも、まだお若いのに上皇におなりになった理由のひとつだったの。
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