野いちご源氏物語 三七 鈴虫(すずむし)
源氏(げんじ)(きみ)としてはおおげさな会にするおつもりはなかったのだけれど、(みかど)入道(にゅうどう)上皇(じょうこう)様がお聞きになってお使者(ししゃ)(つか)わしなさった。
尼宮(あまみや)様のためにお(きょう)を読ませようと寄付なさったので、どうしても盛大な会になっていく。
どれだけ質素にとお考えでも、源氏の君の会というだけで豪勢(ごうせい)になるのに、そこへ帝や上皇様のご寄付まで加わったの。
僧侶(そうりょ)が持って帰ってもお寺にすべて入りきるかしらというほどのお土産(みやげ)になったわ。
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