温厚専務の秘密 甘く強引な溺愛
ハワイ島から戻って数日後の午後。
執務室に控えめなノックの音が響いた。
「失礼いたします」
秘書が一枚の茶封筒を差し出す。
「ご依頼の件、調査がまとまりました」
圭吾は無言でそれを受け取り、封を切った。
中には調査報告書と数枚の写真が挟まれている。
——一枚目。
花月リゾートの旧館の建物。
玄関先に人の姿はないが、生活の痕跡がはっきりと残っている。
「落合さんはどうやらこちらに滞在しているようです。参考までに、花月全体の外観写真も添えてあります」
——二枚目。
観光案内所のカウンターに立つ波瑠。
制服姿でパンフレットを並べ、来客に笑顔を向けている。
「現在は観光案内所でアルバイトをしているようです。勤務は短時間で、週に数日程度とのことです」
——三枚目。
島内の産婦人科の玄関口。
マスクをつけ、診察を終えた波瑠が建物を出てくる様子。
「詳細は不明です」
——四枚目。
海辺に立ち、ひとりで水平線を見つめる後ろ姿。
潮風に髪を揺らされ、遠くを見据える姿には、どこか孤独な影が宿っていた。
「散歩や気分転換に、よく海辺へ出ているようです」
秘書が深く一礼し、静かに執務室を後にした。
扉が閉まると、圭吾は背もたれに身を預け、大きく息を吐いた。
胸の奥に広がるのは重苦しさではなく、深い安堵だった。
圭吾は手元の写真を一枚ずつ見返した。
花月リゾートホテルの写真旧館の玄関、観光案内所の制服姿、産婦人科を出る姿、海辺の後ろ姿。
どれもが、彼女が確かに生きている証だった。
写真の中に映る波瑠の姿を指先でなぞりながら、圭吾の唇が自然と動く。
「……見つけた」
低く押し殺した声が、広い執務室にひとり響いた。
執務室に控えめなノックの音が響いた。
「失礼いたします」
秘書が一枚の茶封筒を差し出す。
「ご依頼の件、調査がまとまりました」
圭吾は無言でそれを受け取り、封を切った。
中には調査報告書と数枚の写真が挟まれている。
——一枚目。
花月リゾートの旧館の建物。
玄関先に人の姿はないが、生活の痕跡がはっきりと残っている。
「落合さんはどうやらこちらに滞在しているようです。参考までに、花月全体の外観写真も添えてあります」
——二枚目。
観光案内所のカウンターに立つ波瑠。
制服姿でパンフレットを並べ、来客に笑顔を向けている。
「現在は観光案内所でアルバイトをしているようです。勤務は短時間で、週に数日程度とのことです」
——三枚目。
島内の産婦人科の玄関口。
マスクをつけ、診察を終えた波瑠が建物を出てくる様子。
「詳細は不明です」
——四枚目。
海辺に立ち、ひとりで水平線を見つめる後ろ姿。
潮風に髪を揺らされ、遠くを見据える姿には、どこか孤独な影が宿っていた。
「散歩や気分転換に、よく海辺へ出ているようです」
秘書が深く一礼し、静かに執務室を後にした。
扉が閉まると、圭吾は背もたれに身を預け、大きく息を吐いた。
胸の奥に広がるのは重苦しさではなく、深い安堵だった。
圭吾は手元の写真を一枚ずつ見返した。
花月リゾートホテルの写真旧館の玄関、観光案内所の制服姿、産婦人科を出る姿、海辺の後ろ姿。
どれもが、彼女が確かに生きている証だった。
写真の中に映る波瑠の姿を指先でなぞりながら、圭吾の唇が自然と動く。
「……見つけた」
低く押し殺した声が、広い執務室にひとり響いた。