どっちの愛も、重すぎて息ができない。
奏多ルート
***─奏多ルート

《莉奈は怖さじゃなく、幼い頃から密かに見守ってくれていた奏多を選びました。》


「莉奈っ!」

背後から腕を掴まれて、引き戻された。
湊に向かって伸ばした手が止まる。


「……っ、かなた、」

「逃げて、湊のとこ行くの?いくら記憶を失ったって、莉奈は俺のことを1回でも好きになってくれたんだよ?」


奏多は息切れをしていて相当走ったのだと分かる。目は赤く腫れていてきっと泣きながら走ったんだろう。あの時みたいに──


「俺は、ずっと傍にいたつもりだよ。笑った時も、泣いた時も。記憶を無くしてからの


莉奈は俺がずっと見てきた。」

奏多は確かに、ずっと私の隣に居てくれた。
私が奏多に言われたことを守れなくても


優しく微笑んで許してくれた。

日常を支えてくれたのは確かに奏多。


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