桜が咲く時まで、生きていたい
そのあと他愛もない話をし、母親たちと合流してお茶菓子を食べながらたくさんの話をした。

「あら!もうこんな時間!」

「あらあら!ほんとね〜」

「じゃあそろそろお暇しようかしらぁ。明日も学校だし」

今日のお茶会はそこでお開きとなった。

「また来てちょうだい!」

「えぇ!」

「お邪魔しました…!」

「また明日、学校でな」

「うん!」

蓮王子親子と別れ、帰路につく。

すると突然前触れもなく手に力が入らなくなり手に持っていた鞄が地面に落ちた。

___トサッ___

「え…?」

横を歩いていた母が突然止まった姫奈にキョトンとした顔をした。

「姫?どうしたの?なんで拾わないのよぉ?」

「ひ、拾えないの…。手が…手の感覚がない…」

徐々に体中の血が引いていくのを感じた。

まだ7月の初め。

この間は足だった。足には若干麻痺が残っている。今回は手だ。

病院に行き、先生に話してみないとわからないが、感覚的に、速い気がする。

「…だ、大丈夫よぉ、お母さんが持っていくわねぇ。早く帰りましょう。明日病院に行かないとねぇ。大丈夫よぉ。まずは家にある薬を飲みましょうか」

平然を振る舞っているが、動揺が滲み出ている。

「う、うん…」

母が人目を忍んでないていることを姫奈は知っている。

すすり声を聞くたびに胸がいたむ。申し訳ないと思う。そしてそれと同時にもっと生きたいと思う。

もっといろんなことをしたい、と考えているうちに、発作が起こって過呼吸になることも少なくなかった。

家に着いて薬を飲む。その間も手の麻痺は戻らなかった。

薬を飲んでしばらく経つと薬が効いてきたのか腕の感覚も戻ってきた。

「おかえり姫奈。急に腕の感覚がなくなったんだって?困るよなぁ」

と言って父はははは。と笑っている。

「…うん。お母さんは?」

「母さんは…部屋にいるよ」

お父さんもお母さんも私には知られていないと思っているのだろうが、部屋にいる、と言われたときには泣いていることを知っている。

「明日、病院に行くんだろう?きっと大丈夫さ」

「ありがとう。そうだといいな。お茶会でお菓子いっぱい食べたからお夕飯はいらない。先に寝るね」

「おやすみ」

そう言って自分の部屋に戻る。

ベッドに横になると疲れが出たのかすぐに眠ってしまった。
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