桜が咲く時まで、生きていたい
この部屋で過ごし始めて1ヶ月、もうすぐクリスマスがやってくる。

その間も姫奈の体調は変わらずだった。

「やっほー!千佳ちゃんだよー!!」

「あと少しでクリスマス!ということで、お部屋の飾り付けにきたわよ!」

そう言って乗り込んできたのは千佳、瑠花、凛、春樹、蘇芳だった。その中に宗一郎の姿はない。

なんでも今日は立花先生に進路のことで放課後呼び出されていたらしい。

ちなみにみんなは進学組である。こんな時期までここにきていいのかと言う疑問もあるが、どうやらここにいるメンツはみんな成績がいいらしく、勉強もちゃんとしているそうだ。

「ごめんねー、今日行くって聞かなくて」

そう言ってベッドのそばに来たのは春樹だ。

他の面々は早速部屋の飾り付けに取り掛かっている。おそらく春樹は凛たちのストッパーとしてきたのだ。

「なんか…ごめんね?」

「いやー?まぁ、楽しいし全然大丈夫だよ」

それに、瑠花ちゃんのそばにいられるしね、と付け加えたが、姫奈の耳に届くことはなかった。

着々と部屋が飾り付けられていく。

すると、部屋に小牧先生が入ってきた。

「おや、騒がしいね。飾り付けをしているのか」

「こんにちはー!!」

みんなが元気よく挨拶をする。

「おーおー、元気のいい挨拶で。ちょっと姫奈ちゃん借りるよ」

すると、千佳と瑠花がすかさず手を止めて姫奈の方まで来る。体を車椅子に移動させるため来てくれたのだ。

せーの、と息を合わせ姫奈の体は車椅子の上に移動させられる。

そこからは小牧先生が押してくれる。今から、両足を動かすための訓練だ。

「賑やかだったね。全く、あの部屋は扉も前の部屋より分厚いから開けるまで人がいることに気づかなかったよ」

「はい。いつもみんなには感謝しかないです。今日の訓練も頑張ります」

「そうしてくれ」

足が動かなくなってから取り入れられた訓練だったが、一向に改善する気配は見られなかった。
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