すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 疑問に思うことは山ほどある。
 なぜ旅に出たのか。どんな絵を描いてきたのか。
 そして、私の母と出会ったことをどう思っていたのか。

 けれど、その答えは永遠に得ることはできない。
 それでも、ひとつだけ、どうしても知りたいことがあった。


「どうすれば……私は、あの絵を描けるのですか?」


 かつて満月の夜に描いた、光に浮かぶ奇跡の絵。
 あの絵を、もう一度この手で生み出したい。
 そして、エリオスに見せてあげたい。

 生い立ちや血筋の真実も大切だけれど、それ以上に私の心が切望しているのはただひとつ。
 再び、奇跡の絵を描く方法を知ることだった。


「どうか、教えてください」

 私は静寂の中で、肖像画の中のスヴェンに向かって、そっと呟いた。
 彼の憂いを帯びた瞳が、今にも答えてくれそうな気がした。

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