すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 全員が肖像画を見つめたまま沈黙し、少し経つと侯爵が私へと向き直った。

「この部屋は、いつでも訪れて構わない。好きなだけ、ここにいるといい」
「ありがとうございます。少しだけ、ひとりでいても構いませんか?」
「ああ。晩餐の時間になる頃にまた呼びにこよう」

 侯爵はそう言って、エリオスに少し別室で語らおうと提案した。
 彼らとともにカレンも退室し、私は静寂の中でひとり残った。


 私は椅子に腰を下ろし、手の届くところに置かれた真っ白なキャンバスをじっと見つめた。
 絵具の香りに胸が熱くなる。
 今すぐにでも、そこに描きたいものが浮かんでくるのに、右手は固く動かないままだ。


 窓のカーテンの隙間から、夕暮れの光が部屋をわずかに染めた。
 その光がやがて赤から紫へ、そして深い青へと移ろう頃、外には星が瞬き始めていた。

 時間の感覚は失われていた。
 私はいろいろと混乱する頭を整理しながら、ひっそりと佇むスヴェンの姿を見つめた。

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