すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 やはり早く結婚するべきかもしれない。
 婚約者ではなく妻となれば、セリスはもう自由に振る舞えなくなる。

 あの王室のパーティ以来、彼女の口から出るのはカルベラ国の話ばかりで、正直うんざりしている。


「ああ、カルベラ国はどんなところかしら。聖絵師(オーラリスト)の聖地よ。もし私の実力が認められれば、カルベラ王室から招待を受けるでしょうね。もしかしたら、留学の話を持ちかけられるかもしれないわ」

 カルベラ国への留学だって?
 とんでもない。絶対に阻止しなければ!


「あはは、君は留学する必要なんてないよ。もう充分な実力があるんだから」
「わかっているわ。でも、本場で私の実力を見せつけてやるの。みんなきっと嫉妬するに違いないわ」

 セリスの実力か。
 正直、僕にはさっぱりわからない。


 レイラの絵もセリスの絵も、他の上手い奴の絵も、僕にはどれも同じように見える。

 ただ、レイラは自分の絵を誇らしげに見せなかった。
 控えめな性格で、自分の絵を見せつけることも、僕に自慢することもなかった。

 まあ、僕に興味がなかっただけだろう。
 他の男には愛想を振りまいていたのだから。

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