すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 ふと、宝石箱らしきものに目が留まった。
 中は装飾品であふれかえっているようだ。

 手を伸ばして掴むと、いくつかのネックレスがじゃらりと絡まりながら出てきた。
 嘆息し、元に戻す。


「セリスは本当に金遣いが荒いな……」

 侯爵家の財産を無駄遣いさせるわけにはいかない。
 自分の装飾品の代金は、本人に負担してもらおう。


 視線を移すと、暗がりの中で淡く光る糸の束のようなものが目に入った。
 茶色の袋に詰め込まれている。
 なんだろうと手に取ると、中から銀色の髪がこぼれ出た。


「これはウィッグか? でも、この色はセリスの髪じゃない」

 目を凝らすと、これは間違いなくレイラの髪の色だった。
 質感も、光の加減で淡く光る艶も、レイラそっくりだ。
 袋からすべて取り出すと、ウィッグの長さもほぼレイラの髪と同じくらいあった。


「セリスがなぜ、レイラの髪と同じ色のウィッグを?」

 単なる銀髪ではない。
 レイラの髪は特殊で、光を受けるとまるで発光するかのように輝く。
 それを忠実に再現させるとは、相当な手間だ。

 このときは、なぜそこまで手の込んだことをしたのか理解できなかった。

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