すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「ありがとう、エリオス。あなたがあの日の夜、絵を描いてほしいと言ってくれたから、私はこうして気力を取り戻すことができたの」

 するとエリオスはふっと笑った。

「君が無理だと言ったのに、俺がわがままを押し通したようなものだ。それで礼を言われるなんて思っていなかった。実はずっと無理をしているのではないかと心配だったんだ」
「無理なんてしていないわ。ずっと甘えさせてもらっているんだもの」
「それに対して罪悪感を持つことはないよ。俺が君を招き、そばにいてもらっている」
「そうは言っても、きちんと仕事ができるようにしなきゃね」
「あの奇跡の絵で1年……いや10年分の仕事をしてもらったと思うよ」
「それは言い過ぎよ」

 私がため息まじりに返すと、エリオスは声を出して笑った。

 スヴェンの部屋で明かりを灯さずに、僅かな月明かりの中でエリオスと語り合う。
 私にとってこの時間がとても満たされていた。

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