すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 セリスの視線が、となりに立つエリオスへと向かう。

「こんにちは。君が従妹かな? レイラから話は聞いているよ」

 穏やかに告げるエリオスに、セリスは一瞬、表情を固くした。
 そして、私へと向き直り、声を低くする。


「嫁ぎ先でもない殿方の屋敷に住むなんて……裏切りになるわよ、レイラ」
「なんと言われても構わないわ。私は命の恩人に恩返しをしているだけ」
「伯父様に伝えておくわ。あなたが生きていることを。きっと、すぐに迎えに来るでしょうね」
「そうやって、また私を売り飛ばすの? 私は物じゃないわ」

 静かな声で告げると、セリスの笑みが引きつった。
 けれど、彼女はすぐに満面の笑みを作り直して言った。


「私はね、立派に絵の依頼をこなしているのよ。そのお金で孤児院への寄付もおこなって、今ではこの国でも名の知れた聖絵師として活躍しているの」

 それは今までずっと私がやってきたことだ。
 だけどわざわざ自慢するようなことではなく、一人前の聖絵師であれば当然のこと。

「そのせいで毎日のようにパーティの依頼が殺到して多忙極まりないわ」

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