すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 絵を描くだけで寝る時間だってないほどなのに、なぜ毎日パーティへ出席できるのか疑問だけれど。
 セリスはにんまり笑って、わざわざ私に顔を近づけて言い放つ。

「あなたの代わりを立派に務めているから安心して」

 ずきりと胸が痛くなった。
 右手が疼く。怪我を負ったあの日のことが頭の中によみがえる。
 胸の奥から怒りの言葉が飛び出しそうになったけれど、その前に近くにいた子供たちがセリスに抗議した。


「お姉ちゃんをいじめないで!」
「レイラお姉ちゃんは立派な絵師さんだよ!」

 子供たちの反応に、セリスの表情が瞬く間に歪んだ。
 頬が引きつり、次の瞬間、怒声が響く。

「あんたたち、誰のおかげで生活できてると思ってるの? 私が寄付してあげてるからご飯が食べられるのよ! 感謝くらいしなさいよ!」

 その剣幕に子供たちは驚き、たちまち泣き出す子もいた。
 庭の空気がぴんと張りつめる。

「セリス、なんてことを……」
「大人の事情を子供にぶつけるのは感心しないな。話したいことがあるなら場所を変えよう」

 エリオスが冷静に言葉を挟む。
 しかし、その穏やかな声がかえって癇に障ったのか、セリスは私をきつく睨みつけ、ふんっと鼻を鳴らして背を向けた。
 ヒールの音を響かせながら、彼女はそのまま去っていく。

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