すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 それからしばらくして、公爵から返事が届いた。
 胸が高鳴り、急いで開封したら、意外にも一枚の紙切れが入っていただけだった。
 それでも、もしかしたら次の王宮の舞踏会で私をパートナーに選ぶ、なんて書かれてあると期待した。


 アベリオとの婚約は、少し保留にしておこう。
 公爵と上手くいけば、あんな男とはきっぱり別れればいい。

 最初は素敵に見えたアベリオも、今ではただの堅物。
 よく見れば顔だって冴えない。
 その点、公爵のとなりに立つ私はきっと誰よりも輝いて見えるはずよ。

 そう思いながら、記された手紙に目を落とす。

「え……?」

 そこにあったのは、たった一文。

『丁重にお断りいたします』


 なに、これ?
 私を、断る?

 この私を――?
 私はこの国一番の聖絵師よ。
 もう筆も握れないレイラなんか、公爵の役には立たないはずなのにどうしてなの?


 ああ、そうか。
 きっとレイラね。あの子が公爵に手紙を書かせたのよ。
 公爵は彼女に騙されているんだわ。

 でも大丈夫。
 次の王宮のパーティで、すべてを覆してみせる。
 公爵はきっと、私に目を奪われる。
 そして、あのお方は私のものになるのよ。

 そうね。レイラに思いきり恥をかかせて今度こそ二度と社交界に顔を出せないようにしてやるわ。

< 154 / 231 >

この作品をシェア

pagetop