すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 セリスは肩をすくめる。

「少し冷静になる必要があるわ。私たちはしばらく会わないほうがいいわね」

 何を勝手なことを言って、まるですべて私に非があるような言い方をして。
 これ以上セリスと会話をしたくない。
 だけど、これだけは言っておかなければならない。

「アベリオの誤解を解いてちょうだい。私はずっと彼を想っていたのよ」

 セリスの顔に、心底残念そうな影が浮かぶ。

「今さら言い訳をしてどうするの? アベリオの心はもうあなたから離れているというのに」

 セリスの言葉が鋭い針のように胸に突き刺さる。
 痛みのあまり胸をぎゅっと押さえた。
 涙があふれそうになる。けれど、セリスの前で泣くなんて、絶対にしたくなかった。

 私が俯いて黙っていると、セリスは明るい笑顔で私に言った。

「ああ、そうだわ。アベリオとの結婚式にはぜひ出席してね。招待状を送るわ」

 パタンと扉が閉まる音が響き、セリスの気配は消えた。

 しばらく呆然と立ち尽くした。
 床にぽたぽたと落ちる涙を、私は止めることもできない。

「誰が行くもんですか……」

 誰もいない部屋の中で、私の小さな呟きだけが、冷たく響いた。

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