すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 それでも、私には絵画がある。
 どれだけ世間から否定されても、キャンバスに向かっているときだけは自分の居場所を感じられる。
 食事や睡眠を削ってもかまわない。誰とも話せなくたっていい。
 ただ、この手を動かせるなら、それだけで私は生きていける。

 誰に何を言われようと、この右手さえあれば――

 そう思っていたのに、夢の中で、その右手が焼けつくような激痛に襲われた。

「ううっ……痛い……痛い……!」

 必死に手を握りしめ、抑えようとする。けれど痛みは容赦なく広がり、ますます激しくなるばかり。

「誰か……たすけ……」

 声がかすれてうまく出ない。体も思うように動かない。
 暗闇の中で、逃げたくても逃げられない。

 眠りから覚めないまま、右手だけが悲鳴を上げている。

 早く、医者に診てもらわなければ――

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