すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「ねえ、アベリオ。私、結婚式には王都一のデザイナーにドレスを仕立ててもらいたいの」
「……考えておくよ」
「ねえ、お願い。絶対よ」
アベリオの声さえ、もう遠い。
御者が鞭を振り上げ、馬の嘶きとともに馬車が動き出した。
私は最後にちらりと外へ視線を向けた。
けれど、彼らはもう、誰ひとりとして私を見てはいなかった。
右手は医師にもらった塗り薬で腫れは収まったが、異形のように変わった状態はどうにもならなかった。
手の感覚はなく、筆を握るどころか、フォークを持ったり何かを掴むこともできない。
この醜い手をさらさないようにと父に言われ、大きな手袋を被せている。
もう、すべてがどうでもよかった。
希望など欠片も残されていないのだから。
「……考えておくよ」
「ねえ、お願い。絶対よ」
アベリオの声さえ、もう遠い。
御者が鞭を振り上げ、馬の嘶きとともに馬車が動き出した。
私は最後にちらりと外へ視線を向けた。
けれど、彼らはもう、誰ひとりとして私を見てはいなかった。
右手は医師にもらった塗り薬で腫れは収まったが、異形のように変わった状態はどうにもならなかった。
手の感覚はなく、筆を握るどころか、フォークを持ったり何かを掴むこともできない。
この醜い手をさらさないようにと父に言われ、大きな手袋を被せている。
もう、すべてがどうでもよかった。
希望など欠片も残されていないのだから。