すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 あれほど必死にこの家のため、父のために身を削ってきたのに。
 それでも、父は私に結婚支度金も、新しいドレスさえも与えてくれなかった。
 残されたのは、使い古された装飾品と、最低限の衣服だけ。
 まるで私という存在ごと、不要物のように捨てられたみたいだ。

 馬車に腰を下ろすと、セリスの甲高い声が耳に響いた。


「ねえ、叔父様。私、新しいドレスがほしいの。流行りのきらめきショールのついたドレスがいいわ!」
「ああ、なんでも買ってやるぞ。お前はうちにとって大切な子だからな」
「やったわ! 私、みんなのためにもっと頑張るわ」

 楽しげな声がするたびに、私の心はさらに擦り減っていく。

「まあ、よかったわね、セリス。じゃあお母様がドレスに似合う宝石を買ってあげるわ」
「嬉しいわ、お母様!」

 甲高い笑い声が残響のように頭の奥で響き、意識が遠のいていく。
 耳鳴りがして、視界がかすむ。

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