すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「レイラ! そろそろ完成したか?」

 突然、扉がバタンと開き、私は思わず体を強張らせた。
 父が現れたのだ。どうやら昼から酒を飲んできたらしく、顔は赤く言動も粗雑だ。
 まずい。こういうときの父は感情の起伏が激しく、何をされるかわからない。
 しおらしく答えなければ。


「明日までということですので、今夜には完成するかと……」
「遅い! お前は何をやっているんだ。このグズが!」

 ガシャーンッ――

 酒瓶が飛んできた。私の顔の横をかすめ、壁に激突する。
 当たっていたら耳が裂けていたか、最悪、失明していたかもしれない。
 心臓が跳ね、思わず手を握りしめる。


「申し訳ありません。寝ずに仕上げますから」
「当たり前だ! 睡眠などとっている場合ではないぞ」

 もう、この2週間はろくに眠っていないというのに。

「完成するまで食事抜きだ」

 スープと硬いパンしか食べていないのに。

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