すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 部屋に戻り、扉が閉まった途端、張りつめていた糸が切れた。
 嗚咽を殺しながら、大粒の涙が頬を伝った。
 声を出してしまえば彼に気づかれる。だから唇を噛みしめ、ただ静かに涙を流した。

「すまなかった。あんな話を聞くことになるとは思わなかった。これからは食事を部屋へ運んでもらおう」
「い、え……大丈夫……」

 震える声。
 必死に気丈を装おうとしても、心の揺れを隠せなかった。

「レイラ、泣いているのか?」
「いいえ……泣いて、なんか……」

 否定をしても、声は震えていて説得力がない。
 どう言い訳をしようか迷っていると、エリオスの手が伸びてきて、私の手に触れた。
 思わずどきりとしたが、私はその意味を理解し、彼の腕を支えてソファへ促した。

「座りましょうか」
「レイラ」
「え……?」

 彼は腰を下ろすのではなく、私の体をそっと抱き寄せた。

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