皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
どんどん……ヴィックが遠ざかっていく。

幼い頃は隣にいて、手をつないで笑い合っていたのに。

今はもう、触れることも叶わないほど遠い存在になってしまった。

皇帝として生きる彼。

庭師としてしかいられない私。

立場の違いなんて分かっている。

それでも、心だけはあの頃のままでいたい。

彼を“ヴィック”と呼べるのは、世界で私だけであってほしい。

どうか──お願い。

誰も、私とヴィックの仲を裂かないで。

あの優しい笑顔を奪わないで。

愛妾でもなく、ただの臣下でもなく、幼馴染として……そして一人の女として。

彼の傍にいさせてほしい。

それだけが、私のささやかな願いなのに。

胸の奥でそう叫んでも、現実は容赦なく迫ってくる。

遠ざかる背中に、必死で手を伸ばしても──指先は空を掴むだけだった。
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