皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
イーヴさんは……私をヴィックの愛妾に、って。

何? どういう意味? 頭の中で言葉がぐるぐると渦を巻く。

「愛妾っていうのはな……皇帝の夜の相手をする女のことだ。皇帝妃のほかに、愛人を囲うのが昔からの習わしなんだ。」

「……えっ。」

耳に届いた瞬間、世界がぐらりと揺れた。

ヴィックの夜の相手──?

想像しただけで胸が張り裂けそうになり、目の前が真っ白になる。

「アンヌ?」

ティドの声が遠くに聞こえる。

唇が震え、どうにか言葉を紡いだ。

「どうすればいいの……イーヴさんが、私をヴィックの愛妾にって……」

「……はあ!?」

怒鳴り声と同時に、ティドの拳が近くの枝葉を叩きつけた。

木々がざわめき、怒りに震える彼の姿が目に焼きつく。

「そんなこと、させるわけないだろ! あのおっさん……何考えてやがる!」

その剣幕に押され、私は力が抜け、膝から地面へ崩れ落ちた。

熱い涙がこみ上げ、頬を伝って止まらなかった。
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