皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
その時だった。

「──アンヌ!」

背後から呼ぶ声に振り向くと、懐かしい面影がそこにあった。

「ヴィック……」

私の幼馴染み、ヴィクトル。

この広大な庭を抱える宮殿に住まう彼は、現皇帝の嫡子。

幼い頃は一緒に駆け回った相手なのに、今では遠い存在になってしまった──はずだった。

「おじいちゃんの手伝いをしているのか?」

穏やかな笑顔で問いかけてくる。

「ううん……」

胸の鼓動が速くなるのを感じながら、私は勇気を出して告げた。

「私、庭師になるの。」

「庭師に!?」

ヴィクトルの瞳が大きく見開かれる。

その驚きが、なぜだか少し嬉しかった。

まるで彼が、今でも私を大切に思ってくれているかのようで……。
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