皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「はい……」

小さく返事をすると、イーヴは深いため息をついた。

「これだから、庶民をプライベートルームに入れるのは問題だと申し上げたのです。身分もわきまえず、妃になりたいなどと」

「ち、違います! 結婚したいと……そう言ってくれたのは、ヴィックの方なんです!」

必死に声を張り上げる。けれどイーヴの目は氷のように冷たかった。

「そこをお断りするのが、あなたの務めでしょう。」

突き刺さる言葉に、心臓がぎゅっと掴まれる。

言い返したい。叫びたい。

──でもここで騒ぎを起こせば、ヴィックに迷惑がかかる。

落ち着いて。落ち着くのよ、アンヌ。

「……まあ、今日のところはいいでしょう。帰って、頭を冷やすことです。」

最後にそう言い残すと、イーヴは視線を逸らした。

「……はい。」

俯いたまま、私は階段を一段一段、重い足取りで降りていった。

胸の奥では、涙が今にも溢れ出しそうに震えていた。
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