皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
私はさらにムッとして、思わず声を荒げた。

「イーヴさん……あなた、皇帝陛下の愛を受け取ることこそ、この国の女の幸せだって言ってましたよね?」

彼は眉ひとつ動かさず、淡々と答える。

「それも、あくまで妾としての話です。皇帝陛下の妃は、すでに隣国のナタリー姫と定まっているのです。」

胸がズキリと痛んだが、負けてはいられない。

「……でも、皇帝陛下はナタリー姫との結婚をお断りになったそうですよ。」

「な……に?」

イーヴの表情にわずかな動揺が走る。

──ほら、完璧な忠臣のあなたにも知らないことはある。

けれど彼はすぐに表情を戻し、冷ややかに言い放った。

「そうだとしても、あなたが皇帝陛下の妃に選ばれることはない。他の姫君を探すまでのこと」

その冷酷な一言に、私は奥歯を強く噛みしめた。

どんなに想っていても、私とヴィックは結ばれない。

そう告げられた気がして、胸の奥が軋んだ。

「……いいですね。」

イーヴの声が、最後の釘を打つように響いた。
< 46 / 100 >

この作品をシェア

pagetop