皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
あれは、私たちが十六歳の夏のこと。

三人で川遊びをしていた時だった。

「うっ……!」

突然、ヴィクトルが足をつり、流れに呑まれていった。

「ヴィクトル!」

真っ先に川へ飛び込んだのは、アリスティドだった。

必死に泳ぎ、彼はヴィクトルの体を押し上げ、どうにか岸へと辿り着かせた。

けれど安堵したのも束の間、今度はアリスティド自身が激しい流れにもまれ、岸へ上がれなくなってしまった。

「ティド! 俺の手に捕まれ!」

必死に差し伸べられたヴィクトルの腕。

だが──アリスティドはその手を取らなかった。

激しく水をかきながら、苦しげに岸の岩にしがみつき、必死に叫ぶ。

「来るな、ヴィクトル! お前まで流されたらどうするんだ!」

その声は水音に掻き消されそうで、それでも痛いほどの必死さを帯びていた。

幼馴染みの三人の絆を揺るがす、忘れられない瞬間だった。
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