皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
「お母さん……」

胸の奥がじんわり熱くなる。

私が好きなのは、やっぱりヴィック。

他の誰かなんて考えられない。

でも──ヴィックも本当に同じ気持ちでいてくれるの?

「……私、ヴィックとちゃんと話し合ってみる。」

「そうよ。」

お母さんは柔らかく頷いた。

「不安なことは心にしまわず、相手に伝えることが大切なのよ。」

終始にこにこと笑みを浮かべる母に、胸が少し軽くなる。

「ねえ……お母さんは、私が皇帝陛下のお妃になったら嬉しい?」

「ううん。」

即座に返ってきた言葉に、思わず目を瞬かせた。

「それよりも、アンヌが愛する人と結ばれる方が、私は嬉しい。身分なんて、どうだっていいの。」

その言葉に、胸がじんと温かくなり、涙が込み上げた。

私はお母さんの胸に飛び込み、強く抱きしめ合った。

どんなに不安でも、この温もりがあれば前に進める気がした。
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