皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
信じられなかった。

だって、ヴィックのお母様は、誰よりも優雅で、毅然と輝いていたのだから。

「夫と出会ったのは、貴族出身の姫君たちを集めたパーティのことだったわ。私は没落した家の娘。来る場所を間違えたと、冷ややかな視線を浴びたものよ。」

「そうなんですか……」

思わず目を伏せる。

会場の片隅で、一人ぼっちの彼女の姿が浮かんで、胸が締めつけられる。

「そんな時、皇帝陛下──私の夫が、私を見初めてくれたの。でも、身分が低すぎると、周りからは“妾ならば”とさえ言われたの。」

思わずヴィックと目を見合わせる。

……私たちと同じだ。

「けれど夫は、周囲の反対を押し切って私を妃にしてくれた。その後はただの一人の妾も置かず、最期まで私だけを愛してくれたの。」

その言葉に胸がいっぱいになる。

まるで未来の自分に光を投げかけられたようで──涙がこぼれそうだった。
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