皇帝になった幼馴染みの溺愛が止まりません
そして──ヴィックとのダンスが始まった。

先生に教わった通り、足を運び、腕を伸ばし……。

震える心を抑えるように、私は必死でステップを踏んだ。

「その調子。上手いよ、アンヌ。」

耳元で囁かれる声に、胸の奥がじんわり温かくなる。

彼がそう言ってくれるなら、私は大丈夫だ。

曲が終わると同時に、広間に拍手が湧き上がった。

──よかった。無事に踊り切れたんだ。

安堵したその瞬間。

「ここで皆さんに伝えたいことがあります。」

ヴィックの声が、会場の空気を一変させた。

彼は私の手を取り、高々と掲げる。

「僕は、このアンヌ・マリー嬢を、正式に皇帝妃として迎えたいと思います。」

一瞬、世界が止まった。

驚愕に目を見開く私。

そして、イーヴも、ナタリー姫も、まるで口を揃えたようにあんぐりと口を開いていた。

広間全体に、ざわめきが広がっていく。
< 81 / 100 >

この作品をシェア

pagetop