私のマンガノート

わたしのマンガノート

「あっつい……」

 今日は八月。夏休み真っ只中。

 宿題はドリルも作文も終わった。けど自由研究だけまだ終わってない。

 やることも決まってないから、わたし、山下実里は自転車で図書館に行ってる。

 家から二十分だよ?図書館なんていつも小説しかないし、私はマンガがすきだからいつもは行くはずない。

 けど小説好きなお姉ちゃんに、読んだ本を返してって言われちゃった。

 だからお母さんにもついでに自由研究のテーマを見つけてきなさいって。

 はあ、いつものこの時間はクーラーが効いた家でごろごろマンガを読んでるはずだったのにぃ。

 こんなことなら日が落ちてきてちょっと涼しくなった時に行けばよかった……。

 日差しが痛いよ。

「ついたぁーっ」

 図書室の中は涼しくて、キンと冷えていた。

 本を返して、自由研究の特集コーナーへ向かう。

 できるだけ簡単にできるやつはないのかな。

 本をパラパラめくってみるけど、なんだか全部面倒くさそう。

 去年はお姉ちゃんに手伝ってもらって、ギリギリ最終日に終わったんだよね。

 まあ、私はお姉ちゃんの指示で字を書いただけで線を引いたり、色付けしてくれたのはお姉ちゃんなんだけどね。

 今年は六年生だし、今年こそはちゃんとやろう。

 でもな、全部難しそうだし、やりたいって思えない。

 好きな漫画の模写をしておしまい! にはならないかな。

「山下さん」

 振り向くと、クラスメイトの坂巻夏帆さんが立っていた。
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