Secret love.
「…はい。」

『今どこ?』

「駅に帰ってる途中。」

『そう。今は1人?』


そう問い掛けられて、太一の方を見る。太一は軽く首を傾げていて、正直に答えても答えなくても面倒な事になりそうな予感がした。

軽く溜息を吐いて「太一と帰り道被って、一緒に駅まで歩いてる。」と正直に答えた。別に嘘を吐かなければならない様なことはしていない。


『そ。駅で待ってても良い?』

「え?迎えに来てたの?」

『俺も残業してたから。一緒に帰ろう。』


昼間にそんな話をしたけど、まさか本当に迎えに来てくれるなんて思っていなくて驚いた。とっくに家に帰っていて、ゆっくりしている頃だと思ったし、何時に帰るなんて伝えていなかったし。

あれほど険悪な雰囲気になったとしても、迎えに来てくれたりするのはいつだって嬉しい。


「後10分もしない内に着くよ。」

『分かった。待ってる。』


そう会話をして電話を切ると太一が「わかりやすい人ですね。」と笑っていて、その言葉に顔が熱くなる。何も言っていないのに相手が及川くんだとバレていて照れ臭かった。

今まで上手く隠してきているつもりだったけれど、太一にわかりやすいと言われたあたり、全然隠せていなかったのかもしれない。
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