Secret love.
「あれ、2人ってやっぱりそう言う…?」

「やっぱりって…、気付かれていたんですか!?」

「まあ、及川がちょっとわかりやすかったし。」


課長にそう言われて及川くんを睨みつけると私から顔を逸らしている。

だからあれほどルールを守れと言っていたのに、秘密にしている時からバレていたら意味が無い。


「でも急に隠さなくなったんだな。」

「はい、春に結婚する予定なんで。」

「ちょ、及川くん…!」


そのタイミングでエレベーターが来たけど、周りの視線を感じて乗り込むことは出来ない。

無駄に目立ってしまっていて両手で顔を覆っていると及川くんが私の手を引いてそのまま非常階段の方に向かっていく。

こんなバレ方をしても及川くんはずっと楽しそうで、さっきまで恥ずかしくて仕方なかったけれど、思わず私も釣られて笑ってしまう。


「ていうか、婚約指輪着けろよ。」

「え?」

「あと数か月したら結婚指輪しか着けれなくなるんだから。」

「あ…、うん。」


先程の恥ずかしさも相まって婚約指輪の話をするのも照れくさい。

鞄の中から一応持っていた婚約指輪を取り出す。ケースに入れて大事にしまっていて、着けようとしたら横から指輪を奪い取られてしまった。

奪い取った本人の及川くんを見ると、私の左手を取ってそっと薬指にはめる。

はめた後の指輪を大事そうに撫でると、そっと手を離す。


「もう外す必要無いな。」

「…うん。」


会社内でこんな会話をするのが照れくさくていつもより上手に話せない。

及川くんの顔を見ると優しく微笑んでいて、その顔から目が離せなくなる。


「何か仕事行く空気じゃなくなったな。さぼる?」

「何言ってんの!早く行くよ!」


そう言って背中を押して早くオフィスに向かう。もう交際してからも長いのに、どうしてこんなに慣れないのか分からない。
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