Secret love.
「あれよね、及川くんって犬よね。」

「分かる。前まで実季が犬って言ってて何言ってんのと思ったけど、最近意味が分かった。」

「好き勝手言ってんじゃねぇよ。でもおかげで最近めちゃくちゃ楽。飲み会とか新婚なんでって笑顔で言ったらみんな帰してくれる。」

「そんな所で幸せを利用すんな。」


確かに最近飲み会も接待も無いなと思っていたらそう言う事かと、納得だった。

おかげではっきり牽制できるようになったおかげで姫野さんも寄り付かないらしい。前までは波風立てない様にぼんやり断っていたのが、はっきり断れるようになったと言っていた。

前からやんわりとは断っていたけれど、あの女がそのくらいで効くわけが無い。


「でも嬉しいでしょ。最近2人の時間きちんととれてるから。」

「…別に嬉しくない。」

「うちの奥さん外じゃツンツンするんだけど、どうにかして新田さん。」

「及川くんもはやうちの奥さんって言いたいだけでしょ。」

「良い響きよな。」


交際した時はすごく大人っぽくて、この人何で私と付き合ったんだろうと思うくらい冷めていたのに、結婚したらこれだ。

交際当初は重いとか子供っぽいと思われたくなくて、好きとかの言葉を控えていたらしい。今は言葉ではあまり伝えてこないけど行動と態度に全て出ている。

正直恥ずかしいけど可愛らしいのも事実だ。
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