Secret love.
「今日は?残業せずこれそ?」

「ちょっと…!そう言う話はメッセージでって…!」

「良いじゃん。誰も聞いてねぇよ。こんな風に近付いても仲良いな~くらいだって。」

「……及川くん。早く戻って。」


そう言ってこれ以上その話をここでしない様にと、牽制すると笑って離れる。それから「川﨑さん、ありがとう。」なんてお礼まで律義に言って、経理部のオフィスから出て行った。

今の流れで気付いたかもしれないけれど、私達は交際している。それも周りに隠して。

さっきの会話を見ていたら交際を隠したがっているのは私だと思うかもしれないけれど、交際を公表しないと言ったのは及川くんで、私はそれを守っているだけだ。

うちの会社は別に社内恋愛禁止でも無いし、実際社内で交際している人は居る。及川くんと私は部署も違うし、何も問題は無いはずなのに「会社に恋愛事が周りにバレてごたごたしたりすんの嫌だから言わない。」という理由で、ずっと2人の秘密を守り続けている。

秘密にしなければいけない内容はメッセージでやりとりする。無駄に接触しない。会社では苗字で呼び合う。交際している相手がいる事は言っても、それが及川くんだと言ってはいけない。というルールを2人で決めていて、それをきちんと守っているのは私の方だ。

私は別に、周りに交際がバレても構わないって思っているのに。
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