Secret love.
その日の夜、及川くんが予約したというレストランに現地で待ち合わせをして、中に入ると既にメニューを見て待っている及川くんが居た。そちらに近付いて「おまたせ」と声を掛けてから、椅子に腰を下ろす。


「お疲れ。今日は残業しなかったの偉いじゃん。」

「…流石に、ちゃんと来た方が良いかなと思って。」

「付き合って4年目の記念日だもんな。」


24歳の時に付き合ってから、4年目。交際自体はそのくらいだけど、及川くんと出会ってからは既に、10年の付き合いになる。元々大学の同期で、私達は元々仲の良い友人だった。ずっと想いを寄せていたのは私の方で、24歳の時、流れで2人で飲みに行く話になってそこで「付き合う?」と及川くんに聞かれて交際を始めた。

それからも交際は続いていて、今はとっくに同棲もしているし、そろそろ結婚を考えてもおかしくない。30歳に近付くにつれてこういう記念日やお祝い事がある度にもしかしたら今日…、なんて期待をしてしまうのだけど、今日もそんな雰囲気はない。

及川くんの事は好きだけど、何を考えているか全く読めなくて、この関係をずっと続けてもいいのか少し悩んだりもしていた。
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