Secret love.
「そういう話し合いしないの?いつまで交際隠すとか、そういう話。」

「してもはぐらかされる。私、4年間も付き合ってるけどよくよく考えたら、恋人としての及川くんの事多分全然知らない。」

「…不安よね。先が見えないって。わかるわ。」


実季にも思うところがあったようで、表情が少しだけ暗くなっていた。お互い付き合いは長いのになかなか進展しないことに同じ悩みを抱いているようでなんとなく1人じゃないと思えた。実季と少し目を合わせて笑いあう。


「だめね、うじうじしちゃって。」

「本当、こんなに悩ませてくるなんて罪深い男性どもだな~」


冗談交じりにそう言いながら一緒に立ち上がって会社の方へ戻る。

及川くんの事を理解しようと思ったら話し合い以外にないのはわかっているのだけど、ずっと何で?と思っていたものを知るのも怖くて前には進めなかった。

このまま30になっても結婚の話なんて出て来なくて、そのうち結婚なんてする気がないと突き放されたら、私は一体どうなるのか。
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