Secret love.
及川くんを見ていると、しーっと人差し指を口元に当てて、それからドアの方を見た。


「あれ、お疲れ様です。もう見回りの時間ですか?」

「お疲れ様です。最近夜誰もいないのに電気が点けっぱなしにされているオフィスがあるから見回りを増やしてくれと上からの指示で、この時間でも一度見回りを。」


どうやら警備員の様で、少しだけ安心した。及川くんの事は知っていたとしても私の顔は知らないだろうから。


「もう帰宅するので、電気は消しておきますよ。」

「お願いします。」


そんなやりとりをすると、警備員はここを立ち去っていく。その足音を聞いて立ち上がると、及川くんは荷物を持って電気スイッチがある所までいった。


「タクシー着いたって、行くよ。」

「…うん。」


やっぱり会社でこんな風にするのは、危険かもしれない。
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