Secret love.
その日の夜、実季に別室を貸し出して私はいつも通り寝室に入った。

そこに既に及川くんは居て、どんな感情で隣に入っていけばいいのか分からない。聞きたい事は沢山あるけれど、実季がいる今の状況だし、別室に居ても声が聞こえるかもしれないから何も話せない。

及川くんが私の様子に気付くと「何してんの。」と声を掛けてきた。それでも動き出す様子の無い私に、空いている隣の所をポンポンと叩いている。

約束だと言う話もしたし、来いと言う様な態度をされたら行くしかなくて、大人しく隣に入った。


「そう言えば何でこのルール出来たんだっけ。」

「優花がすぐ離れようとするからでしょ。」

「離れようって?」

「喧嘩とかしたらすぐ嫌ってなって、話してくれなくなるじゃん。」

「1人で考え整理したい時もあるし…。」

「優花の場合は放置されたらすぐ別れるって言いそう。」

「言った事ないじゃん。今まで別れるなんて。」

「分かってるけど、そうなりそうな時何回もあったでしょ。」


及川くんの言葉に何も言い返せなくなる。喧嘩したら一緒に居たくないって思ってしまって、確かにそのまま放置されたら離れようとするかもしれない。及川くんが今まで喧嘩した時にそのまま放っておいてくれた事なんて無いけれど。

別れるって言葉はお互いに向けて言った事はまだ一度もない。言ったら終わりなのを分かっているから、その場の勢いじゃなくて考えて無理だと思った時だけにしているのだけど、その時はまだ来ていない。
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