Secret love.
「じゃあ、とりあえずお邪魔しました!」

「また会社でね。」


玄関先で実季を見送って玄関の鍵を閉めて、及川くんとリビングに戻る。そこに着くなり何となく気まずい雰囲気になって「…飲み物飲む?」と違う話題で気を紛らわせようとした。時間稼ぎにしかならないことは分かっているけど、いざ話すとなるとまだ気持ちの準備が必要だった。

及川くんは「そんなのいいから」というと、ソファーに座り隣をポンポンと叩く。ここに座って話を聞けと言う意味なのだと思うけど、今はそこに座る事さえ怖い。


「そんな先延ばしにする話じゃないんだけど。大した話でも無いし。今の空気感がずっと残ってるの気持ち悪い。」

「私が不安になったのに、大した話じゃないって言うのやめてよ。」

「そうだけど、裏切る様な事はしてない。」


このまま話していても進まないし、ひとまず大人しく隣に座る事にした。

話さなきゃいけないのは、あの日はどうしてお酒を飲んで帰ってくるような事になったのか、どうして女性の香水が服に付く様な事があったのか。

それと、今私がどうしてこんなにも不安に感じているのか。

そのことを及川くんと話したい。
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